2012年12月27日木曜日

【書籍紹介】Pediatric History and Physical Examination

 
小児科診療でも問診、診察、鑑別診断についてシンプルにまとまっているポケットブックです。 よくまとまっていると思います。
Tarascon Pediatric Outpatient Pocketbookがよりコンパクトで、よくまとまっているのですが、私は慣れているせいか、こちらの方が読みやすいと思って今でもよく使っています。

ちなみに、私の初期研修医の時には、これを毎日覚えるのが仕事でした。

2012年12月19日水曜日

エルシニア感染症読みました。

Yersinia enterocolitica
小児での多くの感染は7歳未満でその大部分は1歳未満。
低温(1-4℃)でも育つ。
37℃で生えないため、検査室に言わなきゃだめ。
虫垂炎に似た腸管リンパ節炎は、年長児や思春期にみられる。
回腸粘膜潰瘍を引き起こす。
反応性関節炎、結節性紅斑を引き起こす。
胃腸炎の患者には、抗菌薬は不要。敗血症などの治療はTMP-SMX。

2012年12月17日月曜日


免疫不全患者の発熱へのアプローチ

今回は東京に感染症のお勉強しにいきました。そこで大事なことをいくつか紹介します。

   まずどんな免疫不全のタイプなのかを把握(5つに分類
   起因菌を同定にこだわる(毒性の強い薬を使う根拠になる)
   感染臓器
   重症度
免疫不全でも不全じゃなくても大事なことはいつも上の4つだけど
特に免疫不全を診る上での大事なことは
    画像診断が大事(相手は奥底に潜んでいる。)
    治療が長期化すること
    副作用が多い
    重症化しやすいこと      
です。

血清診断で診断できればいいけれど、そんなに甘くはないようです。
βDグルカン、アスペルギルス抗原、CMV antigenemia
真菌、CMVは本体が体の奥底に潜んでいる、捕まえるには生検、気管支鏡・・・

症例呈示がたくさんありましたが、考えさせられる症例は、

脳性麻痺・精神発達遅延、てんかんをもつ7歳女児。入院2日前より喀痰の増加あり、注入中に逆流の症状あり。入院当日から37.8℃の発熱。

よくある風景ですね。さて、どのようにマネージメントしますか?
この症例については森と議論しましょう。

今回はここまで。




2012年12月13日木曜日

ネルソン輪読会:嘔吐、消化管出血(2012/12/12)

周期性嘔吐症について
・予防薬として、シプロヘプタジン(ペリアクチン)、プロプラノロール、アミトリプチリン、フェノバルビタール。

鑑別診断が表でcommonとrareに分かれて記載されているので、有用です。

2012年12月5日水曜日

ネルソン輪読会:ロタウイルス(2012/12/5)

勉強になったことを書いておきます。

・新生児(移行抗体や授乳による)や成人でのロタウイルス感染は一般的に無症候性。
⇒生後3-24ヶ月で重症になる。

・嘔吐や発熱は2日で治まるが、下痢は5-7日間続く。

・中等症以下の脱水の場合は経口補液がうまくいくことが多い。

・経口補液は5ml/min。下痢による喪失を補っていく。

・経口補液がうまくいったら形態を変えない食事を。
⇒この方が治りが早い。
⇒希釈したミルクなどは治癒時間が長くなる。

2012年11月19日月曜日

ネルソン輪読会:RSウイルス(2012/11/13)

へーっと思ったところ書いておきます。

・重症例はヒトメタニューモウイルスとの同時感染が多い。
・胸部レントゲンで浸潤影がなければほぼ細菌性は否定。
・鑑別にクラミジアトマコマチスを(結膜炎、肺炎)

2012年11月17日土曜日

【疾患&治療】クループ症候群(2013年度版)

来年度の救急外来のマニュアル「クループ症候群」を改訂します。

==========マニュアル============

クループ症候群


咳嗽を主訴で受診した患者さんの場合は、まず
「どんな咳をしますか?犬が吠えるようなケンケンという咳をしませんか?」
と咳の性状を質問します。目の前で咳をしていない場合は、この病気は問診でしか診断ができません。診断したらスコアをつけてみましょう。
●クループスコア(Westley)
喘鳴
なし:0,聴診すると聞こえる:1,聴診器なしでも聞こえる:2
陥没呼吸
なし:0,軽度:1,中等度:2,高度:3
空気の入り
正常:0,低下:1,極度の低下:2
チアノーゼ
なし:0,興奮するとあり:1,:安静時もあり:2
意識状態
正常:0,異常(混乱、興奮):5
2点以下:軽症 3-6点:中等症 7点以上:重症

症状:吸気性呼吸困難、犬吠様(けんばいよう)咳嗽、吸気性喘鳴、嗄声

対応
Score2点以上

SpO2を測定し、95%以下なら酸素を投与
ボスミン 0.2ml+生食2mlの吸入
改善無ければ、20分おきに行ってよいが、必ず、心拍数のモニターを行うこと。
2回吸入しても改善が乏しければ、小児科当直医に上申すること。

Score1
ボスミン 0.2ml+生食2mlの吸入し、改善を確認する。
SpO2に問題ないことを確認して、内服を処方して帰宅。

Score0
SpO2に問題ないことを確認して、内服を処方して帰宅。

内服
症状が消失したら、悪化時に受診するように指導し、リンデロン散0.15-0.2g/kgあるいはデカドロン錠 0.15-0.2mg/kgを1回分処方し、帰宅とする。
 ========================================================
小児科専門医としてはmist therapyを指導して帰宅させましょう。
お風呂の換気扇を止めて、シャワーを5分ほど壁に当てておき、その時に生じるミストを吸わせてあげる方法です。
効果のある場合とない場合があるのですが、簡単にできる対応なので帰宅時に指導をすると良いでしょう。
 ========================================================
これまで、軽い症状に吸入、重い症状にステロイドという対応がされてきましたが、2004年にThe New England journal of medicineでmild croup(croup score:2点以下)に対してのステロイド投与によって、再受診率や症状が有意に改善することが報告されてから、軽症でのステロイド投与を推奨しているマニュアルが増えてきました。



【→Croup ( Laryngotracheobronchitis)
-Clinical Practice Guidelines in The Royal Children's Hospital

<文献>
Bjornson, C.L.,T.P. Klassen, et al A randomized trial of a single dose of oral dexamethasone for mild croup. The New England journal of medicine.2004; 351:. 1306-13.




2012年11月1日木曜日

症例報告のスライドの作り方

経験した1つ1つの症例経験は大切な財産です。
地方会や研究会での報告は、なれないうちはスライド作りが大変です。

とても便利なページを見つけたので、ぜひ参考にしてみると良いでしょう。

特に秀逸なのは、面倒な経過表の作成についてです。



Open Office で症例報告スライドを作る

2012年10月29日月曜日

第16回東海小児感染症研究会(2012/10/27)

特別講演は北里生命科学研究所の中山哲夫先生で「ラボからみた予防接種」の方法でした。
海外では同時接種で打ってみて大丈夫だったという風に言えればOKですが、中山先生は予防接種の際に体の中で何が起きているのかを解析され、人種の違いなどから安易に海外のデータを輸入して予防接種を行うのではなく、日本人らしく緻密に解析を行い同時接種の安全な組み合わせを考えていくといった趣旨でした。
以下まとめです。

・H5N1 pandemicワクチン(全粒子不活化ワクチン(H5 WIV)+アルミ(アジュバント)):成人では発熱もなく安全に接種できた。しかし、抗体反応はイマイチ。小児は発熱率が高く安全性に課題。しかし、抗体反応は良好。⇒成人リンパ球で炎症性サイトカインの発現を見てみた。
・H5 WIVでIFN-α、IL-6、TNF-αが誘導、アルミを足すとIL-1βが誘導。
⇒自然免疫↑↑⇒発熱と免疫応答に関連あり??成人リンパ球でサイトカイン誘導起きたが抗体反応、発熱率が少ないのは不明なので今後更なる検討必要。
・他の現在有効なワクチンも全て自然免疫系の遺伝子発現の誘導あり。多少サイトカインの反応が異なる。同時接種の組み合わせによる違いは??

・同時接種のサイトカインを検討してみると、数が多くなるほど、特にPCV-7が絡むとサイトカイン↑↑。実際、同時接種の時はPCV-7が絡むと発熱多い。
⇒同時接種の際はPCV-7はずらすと良いのかもしれない。
⇒提案としては生後2カ月でHBV+Hib。その1週後にPCV-7+ロタ(ロタは免疫応答が異なるので同時でよいとした。)

・日本では過去、抗菌薬や解熱剤の頻回筋注により大腿四頭筋拘縮症が問題。今後同時接種で大腿に打つ上で皮下注と筋注の安全性・有効性の差を検討した。
⇒マウスに筋注、皮下注して、病理所見を見た。
・アルミなしは所見なし。アルミありは炎症反応を伴う肉芽腫が6カ月位で縮小。皮下注と筋注の組織像は同じで、筋拘縮症にみられた組織所見はなかった。
⇒現状のワクチンで皮下注と筋注の安全性に差はなし。

2012年10月22日月曜日

若手医師のWEBセミナー

とても興味深いWEBセミナーがあります。

イベント名称:Japan Clinical Practice Festa 2012(ジャパン クリニカル プラクティス フェスタ 2012)
略称    :JCP Festa2012
開催期間  :10月26日(金)、27日(土)、28日(日)
開催場所  :http://jcpf.carenet.com/ ※WEB上のイベントです
参加費   :無料(各プログラムを閲覧するには、プログラム提供元の無料会員登録が必要になります)

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プログラム紹介
【基調講演】
臨床研修制度の過去・現在・未来
インターン闘争から新たな専門医制度へ
慶應義塾大学 名誉教授 相川 直樹 氏
【特別講演】
指導医に求められるもの
名古屋大学大学院医学系研究科健康社会医学専攻総合診療医学 教授 伴 信太郎 氏
【隣の研修をのぞく!】
札幌徳洲会病院、関東労災病院、筑波メディカルセンター病院など20本の動画を公開!
【達人・先輩医師に学ぼう!】
6名のケアネットDVD達人先生をはじめ、総勢30名の先生からメッセージをいただきました!
まさか、あの著名な先生がこんな失敗を?達人先生の経験から学ぶこと盛りだくさんです!
卒後10年目以下の先輩も多数登場。研修医目線に立ったリアルなアドバイス&メッセージ集です!
【若手医師の熱い課外活動】
「尋常じゃないカンファレンス」
今年最大(?)のウワサになった、「尋常じゃないカンファレンス」。
でも実際に見た方は少ないはずです。
JCP Festa2012では、第一回目の「尋常じゃないカンファレンス」の概要映像や
実際に登壇された先生のご協力で再収録した「尋常じゃない風カンファレンス(症例クイズ)」配信します!
症例を出題してくださるのは、ティーチングドクターとして若手医師から絶大な人気を誇る、山中克郎氏(藤田保健衛生大学 総合救急内科 教授)と、関西若手医師のホープ平島修氏(市立堺病院)です!
「フィジカル王にオレはなる!」
身体診察を熱く学ぶ部活動「堺フィジカルクラブ」から、とっても熱いレクチャーもいただきました。皆で学べる内容です。聴診器と油性ペン(なぜ油性ペン?詳しくは映像をご覧ください)をご用意してアクセスしてください。
【特別プログラム】
ローレンス・ティアニー先生の珠玉のケースカンファレンス!
【プレゼント企画】
おしゃれなスクラブや電子聴診器が抽選で当たります!
【ブックフェアー】
若手医師に人気の医学書を61冊集めました!中身をちょろっと立ち読みできます!
【ちょっと一息。オフ企画】
美女医だらけの生ガールズトーク
27日(土)20時よりLive配信予定!どんな話が飛び出すか?若手女性医師たちがワイン片手に、医療のこと、仕事のこと、私生活のことを“女子会のり”で気ままに語ります。医学生、研修医の方々からの質問、コメントもTwitter(@joitalk)で受け付けます。男性医師・医学生の方々も女性医師の「女子会」の様子をちょっとのぞいてみませんか?
他にもまだまだプログラムを用意しています!
他病院/施設で行われている研修の様子は?
研修医、指導医が知りたいこと、気になる話題が盛りだくさん
巷でウワサの若手医師の熱い課外活動!
カリスマ指導医のここだけの話。
参加して、学んで、楽しんで、豪華プレゼントをGETしよう!
10月26日(金)、27日(土)、28日(日)はぜひhttp://jcpf.carenet.com/へ!







2012年10月19日金曜日

卒後セミナー「子供の消化器病自信を持ってみていますか?」

小児消化器肝臓病学会主催の卒後セミナーです。
そうそうたる面々に講義をうけることができ、しかも10000円で、有益な情報が得られるなんて非常に魅力的な企画だと思います。




2012年10月11日木曜日

運動障害:舞踏病(Chorea)、バリスム

運動障害は、神経専門医以外にはなかなかわかりにくいものです。
わかりやすいページを見つけたので紹介します。


神経疾患治療マニュアル



「舞踏病(Chorea)、バリスム 診断」

バリスムの動画も載っており、一度見てみてください。

2012年10月3日水曜日

ネルソン輪読会:喘息(2012/10/3)

鑑別診断と検査のポイントを抜粋します。

鑑別診断:
胃食道逆流、鼻副鼻腔炎。
その他に、繰り返す誤嚥、気管気管支軟化症、先天性の気道の奇形、異物誤嚥、繊維性嚢胞症、気管支肺異形成。
声帯機能不全:日中の喘鳴。喘息との鑑別はスパイロメトリーと声帯観察で(耳鼻科)。治療は喉頭
リラクゼーションや音声言語療法。

検査:
スパイロメトリーが診断、モニタリング、治療の評価に有用。

「包茎」「尿道下裂」「夜尿」など泌尿器疾患

小児科診療を行っていて外科関連の疾患の対応に困ることがあります。

例えば、泌尿器疾患。
おちんちんの皮がむけないのですが」という対応にどうすればいいのか、女性小児科医は悩むと思います。
「おねしょ」のこどもにまず、抗利尿ホルモンを投与。おしっこを濃くするから効果があるのですが、やめたら再発します。ですが、標準治療はそれだけじゃないんですよ

こういった疑問に対する答えは

神奈川県立こども医療センター 泌尿器科のホームページ

小児泌尿器科疾患
に丁寧にまとめられています。

「停留精巣」「尿道下裂」「膀胱尿管逆流症」「水腎症」
「包茎」「精巣水瘤」「尿失禁・排尿障害」「夜尿症(おねしょ)」「二分脊椎」


こちらを一読すれば、世界的な意味も含めた標準治療をわかりやすく理解することができます。

術式も丁寧に書いてありますので、診断した患者さんがどうやって治療するのかもよくわかります。
年間400件以上の小児泌尿器の手術を行っている病院ですが、豊富な経験からだけでなく、海外の文献もしっかりと参照しての記載なので、非常にわかりやすいと思います。

2012年10月1日月曜日

ネルソン輪読会:熱性けいれん(FS)(2012/9/26)

疫学と検査のポイントを抜粋。

1番のポイントは⑧のFS児でのEEGでFS再発やてんかん発症は予測できないこと。
てことは基礎疾患があったり、無熱でない限り脳波の意味はないんだなと思いました。

①6-60ヶ月(5歳)で発症。
②2-5%は生涯に1回経験する。
③初めてのFS後繰り返す率は30%、2回以上のFS後及び1歳未満の繰り返す率は50%。
④FS再発リスクファクター。
Major:1歳未満。発熱24時間以内の発症。38-39℃での発症。
Minor:FS、てんかんの家族歴。CFS。集団生活あり。男児。血清Na低値。
⑤てんかん患者の15%にFS既往あり。FS児の2-7%がてんかんになる。
⑥FS後のてんかん発症のリスクファクター:単純型1%、神経発達障害あり33%、局所の複雑型(CFS)29%、てんかん家族歴あり18%、発熱から1時間以内のFS11%、CFS6%、繰り返すFS4%。
⑦腰椎穿刺:1歳未満強く勧める。1歳半未満も勧める(1歳半まで髄膜刺激症状はっきりしない)。しかし元気であれば得られる情報は少ない。1歳半以上は髄膜刺激症状や頭蓋内感染を疑う徴候があれば行う。
⑧脳波:健康な初回の単純型FSは行わない。EEGはFS再発やてんかんの発症を予測しない。4歳以上のFS児では嗜眠期にスパイクがよく見られるが、これはてんかん発症を予期するものではない。FS後2週間以内のEEGは非特異的な後頭部の徐波が出るので、2週間たってからEEGやるか2週間後に再検する。痙攣後、意識がすぐ回復しない時はけいれんが続いているか、けいれん後(nonepilptic twilight state)なのかEEGで区別できる。
⇒EEGはFS後にてんかんを調べるためにやるんじゃなくて、意識が回復しない時にけいれんの持続か、睡眠か、それこそ脳症を区別する意味の方があるみたいです。
⑨血液検査:初回単純型ではルーチンには勧めない。脱水や低血糖疑うなら血算、血糖、電解質(カルシウム、、リン、マグネシウムも)やる。
⑩CT,MRI:初回単純型FSでは勧めない。CFSや神経学的異常所見あればやる。けいれん重積(30分以上)の時は海馬が腫脹することがある。

2012年9月21日金曜日

第18回病診連携症例検討会(2012/9/20)

参加しました。
以下、簡単すぎますがまとめました。


①多彩な合併症を呈したアレルギー性紫斑病(HSP)症例。
腎炎、腸重積、脳出血を合併した。
HSPあなどるなかれ。

②腹部診察にて偶然発見した固形腫瘍2例。
感冒症状、健診や予防接種の際も腹部診察の必要性を提案した。

③最近経験したBeckwith-Wiedemann症候群(BWS)の3例
BWS:巨舌、巨躯、腹壁欠損(臍ヘルニア、臍帯ヘルニア)の3徴。
出生時は上記症状顕著。成長と共にはっきりしなくなる。
片側肥大もあることががこれは著変しない。
⇒整形外科によるフォロー必要(側湾のチェックも )。
適当な時期に長い方の足の骨端早期閉鎖を。
悪性腫瘍(Wilms、肝芽腫など)の合併率が高い(4-21%)。
⇒定期的な腹部エコーとAFPなどの腫瘍マーカーのチェック必要。

④多魚種アレルギー小児のサケエキスによる減感作療法。
サケエキスでサケだけでなくアジのアレルギー症状出現閾値を上げる事ができた。

特別講演
ポリオワクチン
ポリオ生ワクチンの騒動で接種率下がった。
集団免疫効果を出すには80%以上必要だがそれ以下になってしまった。
⇒しっかり打っていこう。

ロタワクチン
2011年日本で始まった。
任意接種なので集団免疫効果が出るかはわからないが、
5年後位の有病率の調査が必要。
日本では脳炎脳症例なども年間40例程あるのでこれも減少するか調査必要。

2012年9月6日木曜日

続)第3回小児感染症夏季セミナーin安曇野


⑤乳児期早期の発熱にどのように対処するのか?
(長崎大学 森内 浩幸 名古屋大学 木村 宏)

日本は医療アクセスの良い国であること、Hib、プレベナーのワクチンの歴史が浅いこと、感染症の起因菌が海外とは違うことから海外のプロトコールをそのまま日本にそのままに当てはめて考えることは無意味である。そのため、日本版の新たな基準を作成しようとするのが今回のねらいです。新たな基準はみんなで作成中です。

海外のプロトコールの具体的問題点は、
→腰椎穿刺するのに帰宅させる? 
CTRX静注するのに入院させないの?
→時間外で白血球分画を鏡検下でできる? 
→グラム染色・便中白血球はどこの施設でもできる?

研修医の先生方は以下の代表的なプロトコールのおさらいは必須。
Philadelphia criteriaRochester criteriaBoston criteria

2012年9月2日日曜日

第3回小児感染症夏季セミナーin安曇野

行ってきました。6つのグループに分かれたワークショップとレクチャーでした。
充実したチューター陣、他施設の若手小児科Drと交流ができ非常に楽しく勉強できました。
来年みなさん行ってください!

各ワークショップで勉強になったこと。

①マクロライド耐性マイコプラズマ
(旭川厚生病院小児科 坂田宏、横浜南共済病院小児科 成相昭吉)
1.マイコプラズマ感染症小児136例(川崎医大、2005.6-2011.1、血清抗体価+real-time PCRで診断)のうち102例(75%)でマクロライド耐性遺伝子が検出。これらの48時間以内の解熱はマクロライド28%、ミノサイクリン90%、トスフロキサシン94%。(第59回日本化学療法学会総会)

2.旭川厚生病院のデータ(2010.9-2011.8)
マクロライド耐性でも半分はマクロライドのみで治療終了(効いたか自然経過)。

3.8歳未満のミノサイクリンは6日未満の投与ではほとんど黄色歯問題ないが、短い期間でも黄色歯出現することあり(歯にいくことは間違いない)(かなり古い文献、メモれなかった)。十分説明した上で使用すること。

②それって本当に感染症?
(富山大小児科 金兼弘和、岡山大大学院保健学研究科 小田慈)
1.原因不明の発熱の鑑別に自己炎症性疾患の鑑別を。特に全身型若年性特発性関節炎(sJIA)のとき。基本的に遺伝子診断。
2.家族性地中海熱:厚労省研究班による診断基準あり。腹痛、胸痛、関節痛。治療コルヒチン。
3.高IgD症候群:主に乳児期発症。皮疹、腹部症状、関節痛。メバロン酸尿症と鑑別必要(発作時尿検体保存)。
4.TNF受容体関連周期熱症候群:乳児期発症。
5.Cyropyrin-associated periodic syndrome:寒冷蕁麻疹、関節痛、皮疹、軟骨病変、感音性難聴、慢性髄膜炎、眼病変
6.Blau症候群:JIAと鑑別重症。
7.Periodic fever, aphthous stomatitis, pharyngitis and cervical adenitis:5歳までに発症。診断基準あり。

③ポリオを含めた予防接種(私の参加したワークショップ)
(国立感染症研究所 多屋馨子)
1.接種率下がると、輸入時outbreakする(まだ流行国あり、ナイジエリア、パキスタン、アフガニスタン)。去年中国で21人輸入ポリオ。
⇒啓蒙して、しっかり予防接種。
2.単独不活化ポリオワクチン(IPV)と4混併用可だが、4混の在庫の問題でIPV1回でも打ったことある人続けて単独IPVをお願い。
3.麻疹:パルボウイルスB19、HHV-6/7、デング熱で麻疹IgM弱陽性。
⇒麻疹疑ったら、EDTA血、咽頭ぬぐい液、尿を保健所を介して衛生研究所へ。

④インフルエンザ
(札幌医大小児科 堤裕幸)
1.ワクチン:2歳未満の効果不明(Jefferson T et al. Lancet 365, 2005)。厚生科学研究でも1歳未満効果なし。

⑤乳児期早期の発熱(同僚の参加したワークショップ)
よろしく。

⑥小児血液培養
(長野県立こども病院総合小児科 笠井正志、新潟大小児科 斎藤昭彦)
1.小児での適切で現状に則した方法定まっていない。⇒作ろう!以下、笠井先生中心の多施設合同研究のデータ。
2.採血量:Cumitech Guidelineというのあるが量多すぎ(1kg未満に2ml)。この量達成できなくても陽性率変わらず。CLSIガイドライン(10kg約7ml)を達成すると陽性率上がる。1ml以上と1ml未満でも陽性率に有意差あり。
⇒目標はCLSI量で最低1ml?
3.汚染率はポピドンヨードの方がアルコールより高かった。
⇒アルコールで可?(しっかり消毒する意識の方が重要かも)。
4.陽性となったボトルは1268セット中、79%好気のみ、3%嫌気のみ(いずれもコンタミと判断)、18%両方陽性
⇒好気だけでもよいかも?
5.血流感染で2回目のみ血培陽性だったの1例のみ。しかも基礎疾患あり。
⇒基本的には1セットで、必要と考えた状況のみ2セットでよい?
6.上記は基礎疾患ありの児多かった。ルートキープ時の血培についても議論あり。
7.さらに多施設で症例数を増やす予定。

2012年7月25日水曜日

<WEB>第2回 脳神経外科医のためのてんかん治療フォーラム~薬物治療から外科治療まで~

お薦めのWEB SITEです。

てんかんの診断からNICEガイドラインでのてんかんの治療の推奨など簡単に読むことができます。
専門医以外というより、研修医が読むのには最適だと思います。


2012年6月27日水曜日

伝染性軟属腫の摘除

伝染性軟属腫(みずいぼ)の摘除は痛みを伴います。施設によっては自費でキシロカインテープ(ペンレステープ)を摘除する場所にあらかじめ貼っておいてから、摘除をしており、私もそういう施設を紹介したことがあります。ペンレステープの伝染性軟属腫摘除は保険適応外だったので、自費対応になっており、対応を難しくしていました。

6月22日より、ペンレステープに伝染性軟属腫の摘除が適応として認められました。

LINK:ペンレステープの添付文書


伝染性軟属腫摘除時の疼痛緩和
通常、小児には本剤1回2枚までを、伝染性軟属腫摘除予定部位に約1時間貼付する。


2012年6月15日金曜日

ファイザー 若手医師セミナー

今日はファイザー 若手医師セミナーという研修医、学生向けのwebセミナーに来ています。

私の大学の山中先生のレクチャーです。同じ大学にいながら、実際に直接レクチャーを聴いたことがなく、テレビや動画でしかつきあいがありません。こうやって話されているを見ると、このレクチャーを直接触れることが出来る、医学生、研修医は恵まれていると思います。

 今日の最初の症例は「発熱、腫脹のインド人」、深いですね。私はまったく診断がつかず、勉強になりました。ちょうど、今日、病院内で行われた山中先生のレクチャーの動画を拝見したばかりだったので、先生の魅力を大いに味わえた1日になりました。


”朝の頭痛”で脳腫瘍は17%しかなく、睡眠時無呼吸症候群、糖尿病患者の夜間低血糖、カフェイン依存症なども原因になるとか、明日の医療に役立つ知識が満載で、あっという間の2時間でした。


ファイザーの若手医師セミナーは、山中先生、青木先生、林先生など著明なドクターのレクチャーを受けることが出来ます。これまで時間が合わず参加できませんでしたが、全国の会場にインターネットで配信されるので、職場や自宅の近くにある会場で、レクチャーを受けることが出来ます。お勧めです。



2012年6月11日月曜日

臨床研修ワークショップ<小児科>


大学病院に来てから、毎月行っている臨床ワークショップについて説明します。


~~~~~~~~~~~~~~  内容   ~~~~~~~~~~~~~~


鑑別診断を思い浮かべながら、診療をしていますか?
病名ではなく、病因を考えながら、治療をしていますか?

実際の症例の評価、問題解決を中心とした小児科の臨床研修ワークショップを開催しています。

【対象】
小児科に興味のある学生
小児科に興味がある研修医(小児科医にならなくてもいいです(笑))
小児科の後期研修医
知識のブラッシュアップをしたいドクター

 一般外来に来る元気な子供達の評価、救急外来などでの治療における対応の確認、参加前までのそれぞれの能力をほんのちょっとアップグレードするのが目標です。


 日頃の疑問の解決の場として、なんとなく続けてきた医療を見直す機会として、知識のアップグレードを目指す場として利用して下さい。

 特に素朴な疑問は、あなた自身だけでなく、”自分だけが知らないんじゃないか”という不安をぬぐえるいい機会なので、思い切ってこの機会に聞いてみて下さい。

 最近、学生に聞かれた質問
「病原毒素性大腸菌感染症って、どんな人が悪くなるという条件ってあるのですか?」
単純だけど、重要な質問です。

 知識の習得が目的のため、少人数制を取りたいので、同じ内容のセッションを3,4回ずつ開催します。

  ========    内容    ==================

■1■ New Questions&New Knowledge
外来、実習でそれぞれが疑問に思ったこと、自分で身につけた新しい知識を共有する

■2■ To add 5% of your ability.
参加者の外来での診療症例について、よりプラスになる部分を検討する。
(救急診療が対象)

■3■ Case discussion
症例についてのGroup discussion
一般小児科外来でどのように主訴にアプローチするかを検討する
(救急診療以外が中心)

■4■ Solutions
前回のNew questions に対する回答

■5■ Medical Hacks
知っていると得をするちょっとした診療のpitfallの紹介

=================================


■1■ New Questions&New Knowledge
 ”疑問点を共有する”これは大切です。素朴な疑問が医療の質をアップさせることが多いのです。ふと思った疑問をかならず書き留める様にして、この場で共有することで、解決策が得られれば、疑問点がプラス・ポイントに早変わりするのです。
”わからないことは、同じことを周りも疑問に思っている”ので、当たり前かもということをあげてもらえると、周りも”そうそう”って思ってくれるものです。
 また、新しく身につけた知識。上の先生に聞いたもの、自分で調べたもの、その知識が”本物”かどうかも確認しましょう。せっかく調べた知識が怪しい本に書いてあったものや、古い経験に基づくものだったら,もったいないですから。


■2■ To add 5% of your ability.
 救急外来、午後診療などで比較的主訴が限られるケースでどのように対応をするかという演習です。参加する人が実際に関わった症例を対象にします。問題点のあるケースは取り上げません(私が個人的に教えます)。対応に問題がない症例を取り上げ、より診療のレベルを引き上げるために、鑑別診断の考え方、治療の選択について余裕のある医療が獲得することが目的です。

■3■ Case discussion
 ”小児科の一般外来は救急外来みたいなもの”確かにそういう側面が強いです。でも、一般外来ならではの症例もあります。慢性的な下痢や咳、発熱などです。その中で症例にどんな風に鑑別診断を考えて、アプローチしていくのかを簡単に検討していければと思っています。

■4■ Solutions
"New Questions"に対する回答を調べてきて、プレゼンテーションして知識を共有しましょう。

■5■ Medical Hacks
実際の現場で知っておくと、”使える”知識を紹介する様にします。



毎月平日夕方か土曜日の午後に藤田保健衛生大学小児科医局で開催しています。

参加希望の方はinuo@mbh.nifty.comまでメールをください。




2012年5月22日火曜日

<website>小児の片頭痛

症例:頭痛と腹痛を繰り返す男児

”こどもに頭痛”というと小児科医の中でも、病気であるという認知度が低い。
「気のせいですよ」「休めば治ります」といわれ,毎週のように苦しんでいる子どもたちもよく見かけます。
5歳から15歳までで片頭痛の罹患率はNelson Textbook of Pediatrics, 19th Editionでは10.6%と記載されています。以前は北欧の4%というデータが記載されていたのですが、新たに元データが変わったんでしょう。どちらにせよ、気管支喘息の子どもと同数から倍くらいの数の子どもたちに頭痛があります。
プライマリケアが対応できるドクターとしては、的確な診療が必要となります。

サイトは、トリプタン系の頭痛薬ゾルミトリプタン、ゾーミッグの宣伝サイトですが、問診方法などが非常に勉強になるともいます。

お薦めです。




2012年5月19日土曜日

夏季臨床医学教育セミナー


学生と指導医向けのセミナーです。アメリカで臨床研修をしたドクターが、学んできた教育スタイルで診療姿勢を教えてくれます。少人数制ですので、症例に対する診察、鑑別診断などを丁寧に学ぶことが出来ます。

以前は研修医にも参加資格があり、私はもう研修医でも何でもなかったのですが、研修医枠で参加させてもらいました。講師だった静岡県立こども医療センターの植田先生に”なんで研修医枠で参加しているの?”と聞かれてしまったのですが、1からいろんなことを学ぶことが出来て、私にとっては非常に勉強になった3日間でした。

プログラム・ディレクター 津田先生が小児循環器が専門なので、小児科の枠もたくさん設けられていますが、私は外科のセッションも家庭医のセッションもすごく楽しめました。まったく専門外でも楽しめるように作られているので、学生の方には特にお勧めです。







2012年5月10日木曜日

UpToDate® Mobile Solutions for iPhone


これまで、ipodでuptodateを見ようとしても、webに接続してブラウズするし
かなかったので、オフラインで使う前提のipodではうまく使うことができませんでした。

もともとは今や超マイナーなデバイスになってしまった私が使っているwindows mobileでは使うことができたのですが、去年のバージョンアップから、windows mobile対応をやめてしまったので、ipodに対応したuptodateを心待ちにしていました。


数ヶ月前に、UpToDate MobileComplete™ がリリースされ、オフラインでもuptodateが使えるようになっていたのですが、海外のユーザーのみ使用でき、日本のユーザーは使うことができませんでした。

ゴールデンウィーク前にuptodate社からUpToDate MobileComplete™ が使えるようになったというメールがとどきました。

早速ダウンロードして使っています。

すばらしいですよ。

2012年5月8日火曜日

てんかん発作と似て非なるもの


愛知県青い鳥医療福祉センターという施設のページに、痙攣発作の鑑別についてわかりやすくまとまっています。
一度、読んでおくと思います。
お勧めです